こんにちは、インターンのmasayoです。
みなさん、セブ島にバジャウ族という海の上で暮らす人々がいることをご存知でしょうか。
私はセブ島に来て、すでに1ヶ月以上が経とうとしていますが、SMモールから歩いて15分程度のところにこんな世界があったのかと、驚きを隠せませんでした。
私がフィリピン人の知り合いにバジャウ族のことを聞いたときに彼から感じたのは、あまりいいものではありませんでした。
SMシーサイドという有名ショッピングモール場所の近くに住んでいながら、フィリピン人ですらバジャウ族という存在は知っていても、どこに住んでいるかまで知っている人は少ないです。
今回、バジャウ族ツアーに参加して、実際にそこに住む人々と行動を共にし、彼らの生活スタイルや現状を学び、直面している問題について考える機会となりました。
その様子をレポートしています。
まずはじめに予備知識として、バジャウ族についてご紹介します。
バジャウ族とは?
バジャウ族の人たちは国籍もなく、海上の遊牧民族として、数百年来からフィリピン、マレーシア、インドネシア間の海域で生活しています。
世界自然保護基金会(WWF)の撮影記者のジェームズ・モーゲンさんは7ヶ月かけ、バジャウ族の人々の生活を理解し、研究されています。彼の研究結果によると、次のように言っています。
「バジャウ(Bajau)」は東南アジア語系で「海上の人」という意味で、ほとんど一日中、水から離れることはなく、30メートルよりもっと深い海域で魚や真珠とナマコなどを捕ることができるという。「海底の遊牧民族」の由縁である。彼らは海中から必要な食べ物を獲得する他、捕った真珠やナマコなどで精巧な工芸品を作って販売し現金収入を得ている。
今、この「海底の遊牧民族」は消えゆく危険性に直面している。彼らの活動範囲が各国の国境地帯に位置しているので、紛争の防止や海域資源の保護のために、一部の周辺国はバジャウ族を陸地で定住させようとしている。しかし、こうして彼らの生活はもっと難しくなっている。バジャウ族の人たちはこの原始的な魚を捕る方式が生態や環境を傷つけていると意識しているが、大部分の人はこれに代わる生存方法を見つけることができない。
セブ島に住む、バジャウ族の実態は?
セブ島のバジャウ族は、セブシティの南の海岸沿いに位置するマンバリンという地域の海沿いを生活拠点としています。彼らは、高床式の水上住宅を作り密集して住んでいます。海の上に家を作れば、土地代も家賃もかからないみたいです。
近隣の都市開発によって、バジャウ族の村がある近隣海域は透き通った海の姿から一変して、ゴミやヘドロにまみれた海の姿へ変化していったそうです。
その影響もあり、バジャウ族が古来から生業としていた漁業から撤退する者も多く、陸に働きに出る者もいます。一部のバジャウ族はアクセサリー作りなど自営業を持っている人もいますが、仕事のない人はセブ市内に物乞いに行ったりしています。
そういう姿を見て、セブ島のフィリピン人(いわゆるビサヤ人)からの印象もまた悪くなっているように感じます。実際に、知り合いのフィリピン人にバジャウ族の村に行くことを話すと、なんでそんなとこに行くのという反応をされました。
彼女曰く「彼らは、働こうとせず街に出てお金をもらおうとしている。だからあまり好きではない。」と。
しかし、海で仕事をしてきた彼らにとって、陸で仕事をせざるを得なくなる状況は、簡単に受け入れられるものではないでしょう。その変化について行けずに物乞いをしているバジャウ族も多いという事実を知ってほしいと思います。
また、彼らの風体や匂いからセブ島のフィリピン人からは人種差別のような扱いを受ける事もあると言います。それが就職難に繋がり、経済的に貧困につながっているのかもしれません。
(参考:http://digital-cat.com/travel/cebu-matsuda-hiromu-badjao/)
そんなセブ島のバジャウ族の村で生活し、村の発展のために日々奮闘している日本人がいます。
彼の名前は松田大夢(マツダ ヒロム)。
松田大夢(マツダ ヒロム)さんについて
今回のツアーを案内してくれたのが松田大夢さんです。彼が生業とするのは「バジャウ族ツアー」で漂海民族バジャウ族の船で無人島ツアーをやっています。
こちらがヒロムさんと奥さんのシャイマさんです。
(photo by http://tabippo.net/bajau-sebu/)
19歳の頃にバジャウ族の村に移住。
その後21歳でバジャウ族の女性と結婚し、バジャウ族の村で生活しながら、支援活動を行っています。その活動はバジャウ族の認知度・イメージ向上のための「バジャウ族ツアー」やバジャウ族支援活動資金のための自治体「ヒロム基金」の運営など多岐にわたります。
今回は、大夢さんの「バジャウ族ツアー」にお世話になりました。
漂海民バジャウ族の村に行ってみた。
AM6時
SM seasideのキューブ前に集合してピックアップ。
今回のツアーは、エンジニア講師のTom(写真左)さん、えりこさん、インターンのホンマくんと私で参加しました。
ここから徒歩15分ほど歩くと、バジャウ族の集落が見えてきます。
はじめに、目にしたのが大量のごみの山。バジャウ族の村はこの入り口をさらに奥に進むと見えてきます。
バジャウ族では、海の上に高床式の家屋を建設し、村を成して生活をしています。
バジャウ族の村に到着すると、ゲストハウスに連れて行ってくれます。
ここで、はじめの難関が待っていました。バジャウ族の村の通路。
これが通路です!怖すぎる…
下からの高さはおよそ2m。近隣の都市開発の影響から流れ着いたゴミや、汚染された海水によって埋め尽くされている下層部に落ちたら、なかなか体から臭いが落ちないそうです。
絶対に落ちたくない。
バジャウ族の人も稀に足を踏み外して落ちることがあると聞き、慎重に手すりに捕まり進んでいると、
子供たちが話しかけてきます。
「What’s your name?」「What’s your name?」
・
・
・
写真を撮る余裕もなく、子供たちの質問にも答えれないほど、必死でした(笑)
びびって、なかなか進めないでいると、ガイドしてくれている人から
「落ちるときは落ちますからね〜笑 バジャウ族ツアーはスパルタなんで」と一言…(泣)
ゲストハウスがようやく見えてきました!
AM7時
やっとの思いでゲストハウスに到着し、精神的にへとへとになっていたところで、
われわれを出迎えてくれたのは、ヒロムさんのペットパギーくん。
とても人懐っこいです(*^^*)
ほんとここに来るまでが一苦労で、パギーくんに癒されました。
ここではバジャウ族のことや松田大夢さんについて説明を受けます。
そのあとは、バジャウ族の水上住宅を散策したり朝食(各自負担)とっ
お話を聞いている中で、特に印象に残っているのは、バジャウ族は国籍を持っていないといことです。それは、ヒロムさんの奥さんも同じで、日本に行くためにはまずはパスポートを作るにも、様々な手続きが必要だということを教えてくれました。
バジャウ族のみんなを連れて、日本に行くツアーを行いたいと言っていました。本当に行動力があってすごいですよね。
朝食の時間
ご飯を食べれて、ちょっと元気になった様子(*^^*)
ゲストハウスの窓から見た外の景色
AM9時バジャウ族の船に乗りこみ、さっそく出発!
普通のツアーでは行くことのできない幻の島バゴンバヌワ
次の目的地まで結構時間があります。
語り合う2人。
AM11頃〜
バゴンバヌワ島の近くのサンドバー(幻の島)に到着!
島があるかないかはその日次第。
サンドバーは島では無く引き潮により現れる浅瀬で、セブの場合は珊瑚の破片や珊瑚を食する魚により吐き出された、真っ白な砂で出来ています。
ここでは、バジャウ族と一緒に素潜りで魚や貝やウニなどを捕まえた
遊び疲れて、船に戻ってくるといい匂いがしています。
ランチタイム
ランチはその場で捕まえた魚介類や現地の漁師に分けても
ランチを食べ終えたところで、
いよいよバゴンバヌワ島へ。
ヒロムさん:「島に到着しましたー!各自自由に見て回ってください〜」
けっこう自由な感じです。
島を散策することにしました。
日焼け止めを塗っていなかった2人、めっちゃ痛そうです。
日焼け止めは忘れずに!
時間を忘れて海に浮かび、語り合うみんな。
PM5時
バジャウ族の村に戻ります。
辺りもすっかり暗くなってきました。
突然、船が止まりました。
出発地点の家を目前にして、雨が降り出したあげく、エンジンが止まってしまいました。
原因はスクリューにゴミが引っかかったこと。船が波の動きで押し流されていくのをバジャウ族が流されないように必死に押しています。
そこで1時間くらい、家を目の前に立ち往生して、これはもうあの(汚い)海に入らないといけないんじゃないかと諦めかけたころ、エンジンが回復しました。
PM8時
バジャウ族の村にようやく到着。
帰りの時間が予想以上にかかってしまいました。
すべてはゴミのせいです。
大規模な都市開発によって破壊されるバジャウ族の生活環境
『10数年前はここの海もめっちゃ澄んでてゴミなんてなくて家の周りにも魚いっぱいいた。小さいころは家の前の海でよくビーチバレーしてたなぁ。SRPができてからゴミがたくさん流れてくるようになって海も汚れてこんなに汚くなった。』
(バジャウ族の話より)
Before
(photo by :http://enigme.black/2015050303)
透き通る美しい海に、木造の高床式住居をつくり、そこで生活するバジャウ族の様子。
それが現在の姿は、
After
数年でこんなに変わってしまうのかとびっくりしました。かつては水が澄んでいて底まで見えたという海がゴミで埋め尽くされ黒く濁り、辺り一面汚臭が漂っています。
近隣の都市開発による影響がすべての原因ではないでしょうが、劣悪な環境を生み出し、セブ島のバジャウ族の暮らしに大きな影響を与えているのは間違いないでしょう。
まとめ
いかがでしたか。今回のバジャウ族ツアーは普通のツアーでは体験できないアドベンチャーのようなツアーでした。
バジャウ族の村では、恐怖の通路をわたる体験やバジャウ族がどんな暮らしをしているのかを知るよい機会となりました。
バジャウ族の船で行ったサンドバーやバゴンバヌア島は、今まで見たことないほど澄んでいて綺麗な海でした。そこで新鮮な魚を食べたり、自然の流れに任せてのんびりとした1日を過ごすことができました。
綺麗な海をみたあとのバジャウ族の住む海を思うと、これは本当に海と言っていいのだろうかと考えてしまうほどひどいものでした。
なんでもかんでも捨ててしまう習慣。そこにどんどん溜まっていくゴミの山。その影響は確実にそこに住む人々に悪影響を及ぼしていると感じました。
ゴミが散乱し、臭いがきつい海で泳ぎたいとは決して思うことができません。一方で、バジャウ族の子供たちはその海で遊び、無邪気な笑顔を見せてくれます。
確かに、バジャウ族について知ってもらうことで日本人など興味を持った人が訪れ、彼らの生活が少しは潤うかもしれません。
しかし、それは根本的な解決になっているのかどうか、疑問に感じる部分でもあります。今回のツアーで、いつか子供たちが以前のように綺麗な海で泳げるように、改めて環境問題を見直し、ゴミの撤去に取り組んでいくべきだと感じました。
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❐ 松田大夢のクソバカ地球滞在記